備えあれば憂いなし
名古屋で生まれた私は、物心ついたころから、近いうちに東海大地震は必ずおきるからよく準備をしておきなさいといわれて育ちました。昭和54年に起きた長野県西部地震では、名古屋でも大きな揺れを観測し、子供心に、あのような怖い思いをするのはごめんだ、何とか事前に地震が起きることを察知して、どこか安全な場所に逃げることはできないかと本気で考えたものです。
中学校2年生の夏休み、私は地震予知を自由研究のテーマに選びました。図書館で様々な本を読み漁り、犬、金魚、カラスといった人間の身近にいる動物が過去の大地震を予知したということを知り、家で飼っていた3匹の金魚の動きを毎日細かく観察しました。しかし、この熱心な研究を通して、私は、いつどこで大地震が起きるのかを正確に予測することは誰にもできないということを学んだのでした。
あれから時が経ち、科学は進歩し、昨年夏に文部科学省から「今後30年間に大地震が起きる確率」が公表されました。ニュースでも大きく取り上げられましたので、ご存知の方もいらっしゃると思いますが、これは、日本全国を約1キロ四方のマス目に分け、今後30年間に震度6弱以上、震度5弱以上の地震が起こる確率を予測したものです。例えば、現在私の住む東京では、震度6弱以上が10.7%、震度5弱以上が99.1%の確率で起きると予測しています。
私がこの数値を見たときに、もしかして生きているうちに本当に大地震を経験するかもしれないと薄れつつあった地震への恐怖をあらためて感じました。日本では戦後、通勤時間帯に首都圏で震度6以上の地震が起きたことがありません。(地震が)起きてしまったらそれまでといって何の備えもしていない人も多いようですが、企業の内部統制やリスクマネジメントの重要性を説く前に、年初に備えあれば憂いなし、自己のリスクマネジメントもしっかりしておきたいものです。
広報委員会委員 茶田 佳世子
(2009.1.6データ更新)
(2009.1.6データ更新)