ハロー!会計
現在、日本公認会計士協会では全国の中学校を対象として「ハロー会計!」の出張講座を行っています。若い世代に「会計」というものを少しでも理解してもらえたら、との趣旨で全国の様々な中学校に公認会計士が直接お邪魔して、40分から50分の時間で「会計」についての授業をさせていただいております。
私も、何校かの中学校に実際にお邪魔をして授業をさせていただきました。その昔、公認会計士試験に合格する前に教鞭をとっていた時以来、約20年ぶりの教室での授業でした。まず、最初に生徒全員が席を立ち「起立!礼」で始まる昔ながらのスタイル、身が引き締まりました。そして約70個の輝いた瞳に見つめられ口火をきる、20年前は確か生徒と瞳で話をしていたんだなあという記憶が蘇ってきました。でも今は時が経ち、教育の現場を離れ、生徒との年齢差は計り知れず、アイ・コンタクトが取れない、そんなジレンマもありました。
授業の半ば頃、実際にイチゴケーキの原価を計算する実習に入ると、皆電卓を使って真剣に計算してくれました。しかし、中にはよくわからなくて手の動かない生徒もいました。昔の自分だったら「どこがわからないの」と声をかけたであろうと思われるのですが、今の自分はなぜか躊躇してその一言が口に出せない、次の授業では声をかけようと思いながら、結局今までの授業では一度も声がかけられませんでした。20年前と教室の風景も生徒の瞳もまったく変わらないのに自分だけが変わってしまった(歳をとってしまった)、そんな一種の疎外感のようなものを感じましたが、一方で20年の時を超えて再び教壇に立つことができた懐かしさもありました。
授業の最後には、まとめとして会計を通じて真実の報告をすること(嘘をつかないこと)の大切さを説明して授業を終了するようにしております。いったい何人の生徒が理解してくれたのか、また記憶に留めてくれたのかわかりませんが、自分なりには毎回、精一杯説明しているつもりでいます。
これからも、様々な中学校に積極的にお邪魔して出張講座を開催していきたいと考えております。そして、次に授業を行うときにはもう一歩踏み込んだコミュニケーションを自分なりに図れればと思います。
また昔のようなアイ・コンタクトが取れることを目指して。
また昔のようなアイ・コンタクトが取れることを目指して。
広報委員会 杉原 弘恭
(2008.4.11データ更新)