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小惑星1950DAが2880年に地球に接近し0.3%の確率で衝突する。

 「小惑星1950DAが2880年に地球に接近し0.3%の確率で衝突する」と国立天文台が2002年4月5日に発表しました。

 しかしながら、これを聞いて右往左往する人はまずいません。800年先はおろか、80年先であっても、他人事としか思えない人が大半だと思います(たとえ0.3%は無視できない確率だとされていても)。私も、1年先のことさえ見通せずに暮らしています。去年の当欄での予想「もう1枚のモナ・リザ発見」も外れました。先を見通すということは本当に難しいと思います。

 20年分のキャッシュ・フローを見積った上で現在価値に割り引く、といった固定資産の減損会計での計算は、こうした観点、そして下記の点からも、私のような凡人の手に負えないものと感じます。

 1920年代のケンブリッジ大学に、哲学・数学・論理学・経済学に巨大な業績を残したフランク・ラムゼイという天才がいました。その経済学の論文の一つ、「貯蓄の数学的理論」でラムゼイは利子率(社会的割引率)をゼロに設定しました。これは、彼の信念の表明でした。ラムゼイは、「将来を割引くことは倫理的に許されない。個人の生涯は有限だとしても、社会は永続する。だから、社会的なタイムホライズン(人々が行動を決める際に想定する期間)は無限でなければならない。」という強い信念を持っていたのです(野口悠紀雄「超整理日誌185」週間ダイヤモンド)。

 これは、環境問題を考えると分かりやすいと思います。つまり、環境破壊による将来の社会的損失1億円も、現在の1億円の同種損失も等しいと考えて行動することが、社会の永続性のために必要ということです。

 来年はどんな年になるのでしょうか?先を見通すことは無理だとしても、良い年であることを願うことはできます。皆様どうか良いお年を!

 

広報委員会 市瀬 俊司
(2006.12.4データ更新)