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会長ご挨拶

日本公認会計士協会 会長 関根愛子

新しい年を迎えて

 平成29年の年頭に当たり、謹んで新年のお慶びを申し上げます。

 昨年は、夏季オリンピック開催など明るい話題もあった一方で、例えば、我が国では熊本地震の発生により甚大な被害が発生し、海外では、世界各地でのテロの発生、英国の国民投票による欧州連合(EU)からの離脱の選択、さらに、事前の世論調査を覆す形での米国次期大統領の当選など、国際情勢が不安定で混沌とし、前途多難を思わせる出来事も多々見受けられました。

 そのような中、平成28年7月に日本公認会計士協会の会長に就任して、早くも半年が経とうとし、初めての新年を迎えました。就任時に掲げた3つの柱を会務運営の指針とし、公認会計士が、社会からの期待に応え、経済社会の発展及び公共の利益に貢献し、当協会及び会員皆様の業務が前途洋々としたものとなるよう、本年も会務運営にしっかりと取り組んでまいります。

資本市場の健全な発展に向けて

 我々、公認会計士は、経済社会の変化に対応して、適正な情報開示及び情報の信頼性確保に取り組み、資本市場の健全な発展に寄与しなければなりません。そして、公認会計士監査の信頼回復と向上に向けて、全力を挙げて取り組んでいく必要があり、監査人ひとりひとりが、公認会計士に課せられた職責と使命を自覚し、常日頃の自己研鑽と様々な現場等での実務を通じた監査経験を重ね、真摯に取り組むことが重要です。そのためには、職業的専門家としての懐疑心を持って、より深度ある監査を実施するに当たって、十分な時間を確保し、不正への対応についても感度を高めていく必要があります。

 いうまでもなく、公認会計士監査は、財務情報に信頼を付与することにより、企業の適正な経済活動を支え、日本経済の持続的な成長に繋げるための前提となる、きわめて重要なインフラです。そのため、公認会計士監査の信頼回復についても、市場関係者からの視点が重要であり、それらに真摯に対応するとともに、公認会計士自らの改革として引き続き推進していきます。例えば、監査法人のガバナンス・コードの策定への参画、品質管理レビュー制度の在り方の検討、監査人が監査の過程で特に注意を払った「監査上の主要な事項(Key Audit Matter(KAM))」の記載の議論、その他、企業情報の一体的開示、監査期間・時間・報酬の確保、不正事例研修の充実など、監査の信頼回復・品質向上のために、市場関係者との連携を強化しながら、真剣に、そして誠実に取り組んでおり、その検討状況は、逐次、お知らせしていきます。

 また、昨今では、IoT(Internet of Things(モノのインターネット))、IoE(Internet of Everything)、AI(Artificial Intelligence(人工知能))、に代表される情報処理技術・科学技術の進化も、我々の想像を超える速度で、飛躍的に進んでいます。この点への懸念が挙げられることもありますが、今後はむしろ、複雑化した企業活動に対応して会計や監査等においてもITやAIを積極的に利用し、それを利用した環境整備を進めることが重要と考えています。AIの学習能力は人間に比較にならないようであり、財務も非財務データも、クラウド、ビッグデータ、AI、フィンテック(FinTech)といった世の中になれば、企業のデータの在り方も変わり、今のままでよいはずがありません。会計・監査ジャーナル平成28年5月号でも「未来の監査」の対談を行っていますが、AIなどの技術革新を会計業務や監査業務に先進的に取り入れていく挑戦を続けることが重要であり、それがこの業界全体の進歩につながっていき、監査環境の改善にも資すると考えています。

 さらに、監査環境の改善に当たっては、上場企業のコーポレート・ガバナンスのさらなる充実に向けて、コーポレートガバナンス・コード及びスチュワードシップ・コードがより一層、普及・定着する必要があると考えております。ここでの基本的考え方は、投資家・株主との対話、株主重視の方向にあります。我々、公認会計士は、これら2つのコードの原則や補充原則、中でも特に監査に関する記述について、資本市場のために守らなければならない責務として定められているということを上場会社が認識するよう説明に努めることにより、好循環につながることを強く期待しています。

多様な領域での会計インフラへの貢献

 医療や介護といった社会保障についての国の支出は増加を続けています。現在、医療費と介護費だけで50兆円、GDPに占める割合は1割を超え、近い将来に80兆円に達すると言われており、社会保障の持続可能性は、国民の大きな関心事となっております。公認会計士は会計サービス等の業務を通じて、医療や介護といった社会保障の持続可能性を維持し、効率的なパブリックサービスを提供することに貢献しなければなりません。

 今般、社会福祉法人、医療法人等について、経営管理体制の強化や透明性の向上などの観点から、一定規模の法人について会計監査が導入されることとなりました。公認会計士の監査は、公費の負担者である社会に対して、資金使途や運用状況について透明性を確保するという本来の監査の機能に加え、組織ガバナンスの強化、経営力の強化に寄与することができると考えております。

 中小企業支援も公認会計士の重要な役割の一つと位置づけています。例えば、グローバルで市場開拓・事業拡大を目指す中小企業の海外展開を総合的に支援するために、海外特にアジアで活躍している会員事務所名簿を公表しています。中小企業の経営者や金融機関の皆様が、それぞれの置かれた状況により適合した公認会計士を選定するための一助となることを期待しています。

 また、税務業務を行う会員は、9,000名を超えており、税務業務協議会を通じたより積極的な支援が必要と考えております。このたび、租税の調査研究と税務業務協議会のそれぞれに担当常務理事をおき、税務業務支援の充実・強化を図って参ります。

 このように、公認会計士は多様な領域での活躍が期待されています。財務・会計の観点でしっかりと活躍し、地域や社会に貢献する公認会計士の実現を目指していかなければなりません。

国際性・多様性を担える人材の確保と公認会計士の魅力向上

 公認会計士も社会の多様なニーズに貢献し、国際競争力を強化していく必要があり、そのためには、専門的かつグローバルな人材の育成が急務です。政府の日本再興戦略にも「国際会計人材の育成」が盛り込まれ、その重要性について認識されています。当協会では、海外志向の高い若手公認会計士、グローバルな世界での活躍を目指す受験生に対して、積極的に国際会計人材の必要性・魅力を説き、IASBやIFACといった関係国際機関との連携、監査事務所や教育機関のご理解を得ながら、長期的な育成スキームを構築していきたいと思います。

 また、多様性という観点からは、より多くの優秀な女性に公認会計士という職業の魅力を知ってもらい、公認会計士を目指す女性を増やす活動を行うとともに、生涯を通じて活躍し続けていけるための様々な支援を行っていきたいと思います。組織のダイバーシティを充実させ、多様な人材が活躍することは、多様な価値観・アイディアを活かすことにつながり、組織・社会にイノベーションをもたらします。女性が活躍する社会を目指すことは、公認会計士業界の発展にとっても必要なことです。

おわりに

 会長に就任後、全国の公認会計士に、直接、会務運営の方針等の説明をするため、全国の地域会を訪問し意見交換・対話を行いました。全国の公認会計士が社会からの期待にしっかりと応え、真摯に着実に職務を果たしている姿を垣間見ることができ、今後も公認会計士が経済社会の発展及び公共の利益に貢献するという重要な役割を担い続けていくことを確信いたしました。公認会計士が、胸を張って日々の業務に邁進できるよう諸課題に対応し、そして、魅力ある業務であることをより一層社会に伝えていきたいと思います。公認会計士の未来に責任がある我々が、皆で一丸となり一歩を踏み出していきたいと思いますので、共に頑張っていきましょう。

 最後に、皆様の益々のご健勝とご活躍を祈念し、年頭の挨拶とさせていただきます。

以 上